自動運転車ソフトウェア会社が、創造性を武器に市場進出。

状況

コンピューター分野の科学者が数人集まり、従来の倉庫フォークリフト作業を自動化し、車両の誘導路や標識付きルートといった追加の倉庫インフラに依存せずに機能させるというアイデアをもとに会社を立ち上げました。必要とされる倉庫業務をすべて自律的にこなせる完全に運用可能な試作モデルができるまで何年もかかりました。開発の過程で、自動運転車は効果的な運用に必要なスペースが人間が操作する車両と比べてはるかに少ないことが判明し、これは収入をもたらす倉庫面積が増加することを意味します。この発見により、製品の秘める価値は非常に提示しやすくなりました。数多くの潜在的な顧客が興味を示し、ベータ版のプロジェクトのために施設・工業資源・車両を提供することに同意する客もいました。しかし、初期の動きは盛んだったにも関わらず、見込みのあった企業はことごとくプロジェクトを先送りし続けました。結果として、当該企業は顧客の収益に明らかにプラスに働く製品を手にしている一方で資金不足に陥りました。

我々の調査

この状況を評価するにあたり、Incupointは顧客のターゲット市場である大規模倉庫事業者が、顧客の想定と大きく異なるペースで自動化に取り組んでいると結論付けました。明らかにその製品と製品が秘める価値が気に入っていましたが、製品を適応させるためのタイムラインと顧客のビジネス継続に必要なタイムラインとの間に大きな溝がありました。さらに、ターゲット市場の期待に応えるためには、本質的に顧客がソフトウェア会社から自動フォークリフトの運用会社に移行することが求められていることは明白でした。その移行自体がさらなる資金を要することとなり、リスク増加につながりました。Incupointの見方では、顧客がもともとのターゲット市場で成功を収めるためには、中長期的にエンジニアリングチームに過度の負担をかけない、短期的な収益源の代替を検討する必要がありました。

我々の貢献

Incupointにとって、顧客は何よりもまず自動運転車の開発者でした。そのため、我々が最初に行なったことは、顧客が自らを異なる見方で捉えられるようにすることでした。この重要なステップは、ターゲット市場を倉庫運用の比較的保守的な市場から、自動運転(無人)車という遥かに広くダイナミックな市場に拡大するために不可欠でした。結局、自動運転車の製造に通常必要となる資金・人員は必要ありませんでした。自動車メーカーが、(多くの場合ゼロから)社内の自動運転車の能力を生み出そうと相当努力したためです。失った時間を埋め合わせ、社内プログラムを早急に始るために、買い物へ繰り出す自動車メーカーもありました。我々の顧客は買収を望んでいませんでしたが、自動車メーカーとのライセンス契約を受け入れていました。この比較的短期間のプロジェクトは、顧客の現金の流れを向上し、主要な顧客との関係を強化しました。これと同様に重要なのは、顧客と契約を結ぶことにより、自動車メーカーが事実上彼らの技術を承認したということです。これは倉庫運用者のテクノロジーに対する信頼を高め、タイムラインを早めることにつながります。

© 2020- Incupoint LLC